パンデミック後のクルーズ船の集合避難訓練状況と実際の火災事故事例

パンデミック後のクルーズ船の集合避難訓練の今

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、各船会社は出港前の船内避難訓練(ポートドリル)をバーチャル訓練や電子集合訓練などを導入しました。感染状況も落ち着き、世界でクルーズ旅行が再開された今、避難訓練の形態はどうなっているのでしょうか。
パンデミック前、乗船客は指定された場所に集合し、点呼、救命胴衣の着脱方法などのレクチャーを受ける時間は30分前後かかりました。パンデミック後は、乗船客は避難場所を確認するために、集合場所には行かなくてはなりませんでしたが、密空間が生まれないようクルーズ会社では、スマホ、PC、客室のテレビなどで安全に避難に関する実演を電子視聴できる新しい集合訓練プロセスを導入しました。

【従来の避難訓練に戻ったクルーズ会社】

ディスニークルーズは、以前の集合避難訓練に戻った最初のクルーズ会社でした。戻った理由は明らかにされていませんが、乗船客の違反が原因していることが一部あると言われています。
ノルウェージャンクルーズは、安全を理由に挙げ、全クルーズ船で集合避難訓練に戻しました。正確な「安全」問題の内容は明らかにされていません。

ちなみに、新型コロナ5類移行後(2023年5月)に乗船したにっぽん丸での避難訓練は『集合型』でした。

【電子避難訓練を継続するクルーズ会社】

ロイヤルカリビアン(RCI)は、電子避難訓練を継続する意向を発表し、この形式による避難訓練の準拠率が高くなっていると言われています。
カーニバルクルーズは、電子避難訓練を引き続き利用するとしています。有効性を向上させる方法をこれからも模索していくとしています。

集合型避難訓練に戻っている理由の一部として、数人のクルーが設定された時間に必要な情報を全ての乗船客に同時提供できるとされています。電子避難訓練は、乗船客からの有効性について肯定的であり、米国沿岸警備隊や安全の専門家などからも非常に評価が高いことが挙げられています。(引用:CruiseRADIO.net)

客室から出火した火災事故

クルーズ船に乗船する毎に、乗船客は避難訓練は『形式化』してしまう傾向もありますが、残念なことに実際に船での火災事故は起きています。避難訓練は真剣に参加し、自室から絶対に出火させないことはとても大事です。

(Photo by P&Ocruise-cruisehive)


現地時間2023年5月28日午前3時30分頃、P&Oクルーズ・オーストラリアのパシフィックアドベンチャー号で火災が発生し、乗船客は客室から避難、避難場所に集合するよう指示が出た。当時、このクルーズ船はオーストラリア・シドニー沖を航行中、無寄港クルーズに出航したばかりだった。この火災でパシフィック・アドベンチャーはバルコニー1つを焼失、鎮火する前に燃え広がったが最終的には安全に鎮火されたという。乗船客、乗船員全員に対し避難指示が出され、幸いにもこの火災による負傷者はいなかった。
船内の乗船客は救命胴衣を着用して集合場所に呼び出され、状況が判明するまでその場で待機、最新情報を待ったと言う。火災は船の火災対応チームによって消化され、午前5時頃非常事態宣言が解除、その後乗船客は客室に戻ることができた。初期出火の原因は明らかにされておらず、客室4部屋が焼けたことが確認されているが、船全体の損傷程度はまだ判明しておらず、P&Oクルーズは「被害の程度と火災原因の解明は引き続き調査中」との声明を出している。この火災での当該クルーズ旅程に影響はなく予定通りに行われるが、その後の旅程に影響があるかは今の所不明としている。
(引用:cruisehive)

火災原因を起こす可能性がある持ち物

乗船客ひとりひとりが、船内で出火原因を作らないことを肝に銘じて乗船すべきです。各クルーズ会社によって船内に持ち込みを禁止しているアイテムがあるので、乗船前にはクルーズガイドをよく読んで遵守したいです。以下は、一般的に禁止とされている代表的なアイテムです。
衣料用アイロン、衣料用スチーマー、ロウソク、お香、ヘアアイロン(一部許可している会社あり)、延長コード、サージ防護機器、水キセルパイプなど。

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