【news】MSCマニフィカ地球で最後のクルーズ船が4月下旬に無事帰国

乗船客を乗せた地球最後のクルーズ船

新型コロナウイルス感染拡大以降もクルーズを続けていた「MSCマニフィカ」「パシフィック・プリンセス」「コスタ・デリチョーサ」の3隻が4月下旬にその航海を終えた。
その中の1隻、MSCマニフィカ(総トン数95,128トン,乗客定員数2,518名)は2020年1月5日に『MSCクルーズ世界一周ワールドクルーズ第2弾』としイタリア・ジェノバを出港した。クルーズ中、新型コロナウイルスが世界的に感染拡大する中、乗船乗員感染せずに4月20日無事に帰港しました。

MSCマニフィカの航海

1月15日イタリアを出航


(出典:クルーズネットワーク)
MSCマグニフィカは2020年1月5日イタリア・ジェノバを出発した。
出発当時、「原因不明の肺炎」はまだ名称もなく、その罹患者は全員が中国・武漢在住だと言われていた。

1月19日ブラジル寄港

MSCマニフィカは欧州を出発後、アフリカ西岸のカーボ・ヴェルテを経由し、大西洋へと航海を進めた。出発から4日後の1月19日にブラジルに停泊する頃には新型コロナウイルスは中国外にも拡散し始め、船長にも連絡が入った。

1月21日チリ出港

MSCマニフィカは1月21日南米チリを出発、24日に南太平洋のイギリス領ピトケアン諸島に到着した頃、ニュースではクルーズ船が話題になっていた。

3月2日ラロトンガ入港

クック諸島・アイトゥタキ島に到着予定だったMSCマニフィカだったが、寄港先地元住民の懸念は高まり、クック諸島政府寄港拒否を要請した。MSCマニフィカには新型コロナウイルスの感染者がいなかったためクック諸島の首都ラロトンガへの寄港が許可された。
クック諸島の次の寄港地はニュージーランド・オークランドで、到着時現地では新型コロナウイルスの感染者が5人で、渡航歴がある人、その親族だった。

3月14日タスマニア島付近

MSCマニフィカがオーストラリア・タスマニア島に近づく頃には、現地では感染者が5人出ていた。船にはホバート港への寄港許可が出されたが、船長は下船した乗船客に感染の危険性があると判断し、全乗船客に船にとどまってもらうこととした。

クルーズの打ち切り、希望者の帰国

オーストラリア・シドニーに到着後、船長は「どこにも行き場がないことを確信」し、同船による世界周遊クルーズの打ち切りを発表し出発したイタリア・ジェノアへ戻ることにした。
世界周遊の中止発表後、そのまま帰国の希望がある乗船客は、シドニーかメルボルンでの下船が認められ数百人が下船した。

誤情報の拡散

クルーズ船は寄港する際、港湾当局に船内に感染症患者がいないことを示す医療記録を提示しなければならない。MSCマニフィカは西オーストラリア州フリーマントル近づいたときに診療記録は250人分あった。ほとんどは頭痛薬や塗り薬をもらいに来たという記録で、新型コロナウイルスに似た症状を訴える記録などなかったが、西オーストラリ州知事は誤情報を入手し、記者会見で「現在250人以上の乗船客が感染症状を発症している」と会見していた。
元々フリーマントルへは燃料の補給と物資の調達のための寄港で乗船客の下船予定はなかった。MSCクルーズ社は西オーストラリア州に対し「船内には呼吸器疾患やインフルエンザに似た症状を訴える人はいない」と強調したが、受け入れらなかった。

乗員の下船訴えSNSで拡散

オーストラリアを出発後、MSCマニフィカはドバイで停泊の予定だったがキャンセルになり、その後スリランカ・コロンボへ寄港することになった。
この頃スリランカ人のシェフ、ヘラスさんは不安に思っていた。「このままイタリアに戻れば14日間の隔離生活が待っている。その後自国へいつ戻れるかわからない。」
ダメ元で「コロンボでの途中下船を認めてほしい」と訴える動画を作成しSNSに投稿すると多くの反応があり、結果、スリランカ大統領は規制を緩めることを決定、MSCマニフィカがコロンボに寄港した際に下船することができた。
しかし、残念なことに乗船客の1人、ドイツ人女性(75歳)は新型コロナウイルス以外の理由で救急治療が必要になりコロンボで下船、その後死亡した。

4月20日マルセイユ入港

MSCマニフィカの乗船客はその後、新型コロナウイルスどころか、狭い船内に閉じ込められることで起こる発熱、不安症などなく船内での時間を楽しむことができた。
乗船客が最後に上陸できたのはニュージーランド・ウエリントン、その後4月20日にフランス・南部マルセイユにMSCマニフィカは帰港し乗客も下船することができた。
(ニュース元:BBCニュース2020.4.24)

オーストラリアで乗船客を下船させなかった船長の英断が素晴らしい!新型コロナウイルスが世界的に感染拡大していく最中のクルーズで、乗員乗客が誰も感染せず長い長い航海を終えたことは奇跡に思えました。

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