クルーズ船乗組員下船できない現状|乗組員がセレブリティクルーズ会社を提訴
帰国できないクルーズ船の乗組員
新型コロナウイルス(COVID-19)に感染した乗客がクルーズ船から下船した後、乗組員(クルー)は船内に隔離状態になる。アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、今なおアメリカだけでも約100隻のクルーズ船で約8万人の乗組員(クルー)が船内で足止めされていわれている。そのうち20隻が船内で新型コロナウイルスの感染者が発生しているのが現状だ。
全世界で感染拡大が広まる今、自国の市民に対しても国境を封鎖している国が多数あるため、乗組員の多くが帰る場所を失っている。
クルーズ船各社は3月中旬には運行の中止を発表したが、その時期には何十隻のクルーズ船がクルーズを続けていた。その間国際港は閉鎖、何隻ものクルーズ船が下船を拒否され、ようやくたどり着いた港で乗客だけが下船を許された。
CDCは先週、クルーズ会社に対してアメリカ領海での航行禁止令を発令し、避難した乗組員や乗客の民間航空機の移動も禁止されている。また、乗客と乗組員を乗せて航行しているクルーズ会社に対し、「感染防止策、緩和策、対応策の提示」を示すように求めている。
クルーズ船内で足止めとなった乗組員の帰国が困難になっている中、カーニバルクルーズではエチオピア航空のチャーター機を手配し2,500人をした。しかし希望者全員が自国の都合で帰国できない国もありその場合は船内に留まるしかない。
クルーズライン国際協会によると、乗組員の生活環境は十分に維持され医療スタッフも乗船しているとされているが、「検査で陽性になった乗組員さえ医療を受けられず、情報もない。時刻から遠く離れ、隔離され、孤独な状態。」だという。
乗組員がクルーズ会社を告訴
セレブリティクルーズで11年間勤務してきた女性乗組員は、2020年春進水準備のためにフランスの造船所で停泊していた「セレブリティ ・エイペックス」で数週間過ごさねばならなくなった。新型コロナウイルスの検査でこの女性乗組員を含む数百人の乗組員が陽性となったからだ。
彼女は先日、セレブリティクルーズを告訴した。
「会社がマスクの配布をせず、一定の距離を保つソーシャル・ディスタンシングの対策を実施せず乗組員の保護を怠った」と訴え、現在係争中となっている。
(ニュース元:東洋経済 ON LINE2020.4.18,Miami Herald2020.4.19)